日本は眠らない国といわれていることはご存じでしょうか?
世界各国の中でも日本は睡眠時間が短いを言われているのです。
OECD(経済協力開発機構)の調査によると日本の一日あたりの平均睡眠時間は7時間22分となり、調査対象の33か国のなかで最低の睡眠時間となっているのです。
7時間22分ときくと、けっこう眠れているじゃないかと思うかもしれません。
しかし、日本人の7割以上が7時間未満睡眠となっているのです。
私も、6時間寝れていれば、きちんと睡眠をとっている気になっていました。
しかし、寝ていても、日中にぼーっとしてしまって、ミスをしたり、身体がだるい日が続いたり、風邪をひきやすくなったり、運転中に眠くなってはっとしたり、危ない目にあうこともありました。
睡眠負債とは?
簡単にいうと自覚のない睡眠不足のことです。
まさに、私は睡眠不足の自覚がありませんでした。
ここで、気になるのは睡眠不足と睡眠負債の違いではないでしょうか?
たとえば、「あー昨日徹夜しちゃったから眠いなぁ」と睡眠があまりとれてないことの自覚がある時は睡眠不足です。
一方で睡眠負債は本人にその自覚が無いままに、少しづつ蓄積されていった睡眠不足です。
適切な睡眠時間は人によって違いますが、例えば、8時間睡眠がベストな睡眠状態の方が、毎日6時間睡眠だとしたら、2時間の睡眠不足がたまっていきます。
そのまま何日も過ごすと、6時間は寝ているので「寝ている」と思い、睡眠不足だという自覚はなく、どんどん睡眠不足が蓄積されていき、慢性的な寝不足が少しずつ蓄積されていくのです。
しかし、睡眠不足の状態が続いているので、しらずしらずに身体や心や脳に影響をもたらし、何らかの症状で身体のSOSをだしています。
ただ、睡眠不足という自覚がないので、そのSOSの原因が睡眠だということに気づかず、そのままになってしまうところが、睡眠負債の怖いところです。
では、どうやって睡眠負債を自覚していったらいいのでしょうか?
睡眠負債のチェックの仕方とは?
・起きたときのスッキリ感がない
起きたときに寝た気がしなかたり、だるさを感じるのは睡眠が十分ではない証拠です。
・午前中に眠くなる。
午前中というのがポイントで、目覚めて3時間から4時間くらいたったころが、脳の働きが活発な時と言われています。そのころに眠くなるのは、睡眠負債が原因だと考えられます。
逆に昼食後に眠くなる人は睡眠が充分な人でもありがちなこと。これは体内時計の働きによるもので、食事とは無関係に午後二時頃や午後4時ころに眠気を覚えやすい時間帯があるからです。
・ふとんにはいるとすぐ寝てしまう。
すぐ寝てしまうのは、寝つきが良くて健康的だと思われがちです。睡眠負債がない状態では、15分ほどまどろんでから睡眠に入っていきます。そのまどろみがないのは、睡眠負債がたまっている状態です。
・日常生活の急な眠気
電車にのっているときなどの移動中、車を運転しているとき、などふとした時に急に寝てしまう、などの急激な眠気を感じる方は、睡眠が足りないため脳の疲労が回復しておらず、日常で急な眠気に襲われてしまっているのです。
車を運転している時は、本当に危ないですね!事故にあってしまうこともあります。
思い当たるふしはありませんか?
ひとつでも思いあたるものがあれば、睡眠負債を疑ってください!!
睡眠負債がもたらす不調とは?
では、睡眠負債を続けていったらどんな症状が現れるのでしょうか?
睡眠は一言でいえば身体や脳のメンテナンス時間です。
そのメンテナンスの時間が短ければ身体に色んな影響を及ぼします。
睡眠負債による影響
・免疫力が衰える
・注意力散漫でイライラしたり、ミスが増える
・強い疲労感や倦怠感
・昼間の急な眠気
・糖尿病や脳卒中、高血圧などの生活習慣病の悪化
・脳機能が衰える
・肥満につながる
様々な影響があります。
免疫細胞がもっとも活性化になるのが、副交感神経が優位になっているときです。つまり、睡眠中です。
睡眠がしっかりとれていないと、自律神経の交感神経が優位になり、血圧を上げたり心拍数を上昇させ、血圧が高くなってしまいます。また、睡眠不足が続くとインスリンの感受性が悪化していきます。そのため、高血圧や糖尿病といった、生活習慣病へのリスクが高まります。
また、寝ている間に脳の掃除が行われているのです。
日中の脳細胞の間にたまった有害なたんぱく物質を除去してくれているんですね!
脳の有害物質や老廃物の洗い流しは寝ているときのみ行われます。
そのため、睡眠が少ないと脳の掃除ができなくなってしまい注意力散漫になってミスが増えたり、仕事や日常生活に支障をきたしてしまいます。また、急な眠気によって大きな事故やケガにつながる可能性もあり大変危険です。
そして睡眠不足になると食欲を抑制するホルモンが減少し食欲を増進するホルモンが増え、太りやすくなることも!
たまった睡眠負債を解消しよう
睡眠負債を解消するには?
睡眠の「負債」なんだから、寝だめして負債した分をあとでかえせばいいんじゃない?と思いますよね。
しかし実は、寝だめは効果ありません。
連日睡眠不足だったからと、休みの日に寝だめしようとしても、人間の身体には体内時計というものがあり、いつもと同じ時間に目覚めてしまいます。負債を解消しようと長い時間無理に寝ようとしても浅い眠りになり、睡眠の質が悪くなり疲れがとれません。
また、起きる時間を遅くしてしまうと、その日の寝る時間が遅くなり、体内時計がくるってしまい、安定した睡眠がとれなくなってしまいます。
そのため、寝だめは効果がないのです。
では、どうやって睡眠負債を返済していけばいいのでしょうか?
効果的な方法をいくつか紹介します。
1 平日は30分早く寝る。
起きる時間を変えてしまうと体内時計がくるってしまうので、寝る時間を30分早くします。それを1週間続けます。
ちょっとした早寝を続けて返済を続けるスタイルです。
急に1時間や2時間早く寝ようとしてもなかなかできません。1回で睡眠負債を返済しようとせず、コツコツ少しづつ返済していくことで、無理なく返済していくことができ、平日の前半で調子が回復していくはずです。
すると、土日で急激な寝だめをする必要もなくなり、身体のリズムも崩れないで、月曜日をベストな状態で迎えられます。
2 パワーナップ(積極的仮眠)がおすすめ
睡眠負債が続くと、仕事のパフォーマンスが落ちてしまい、ミスに繋がってしまいます。
そこで、最近推奨されているのが、パワーナップ、いわゆる「積極的仮眠」です。
昼休みの15分から30分程度の時間があれば、ぜひ実践してください。
それだけでも、頭がすっきりして、効率があがります。
日本ではあまり知られていませんが、アメリカでは大人気で制度として行っているところが多くあります。
Googleやナイキではパワーナップが推奨されて制度としておこなっています。
んと、あのNASAもパワーナップ制度をとりいれて、仮眠研究を行い、効果的と結果がでているそうです。
おすすめパワーナップのやり方
・仮眠前にカフェインをとる
コーヒー紅茶などのカフェインは飲んでから覚醒状態になるまで、20分から30分かかります。そのため、寝る前に飲んでおくと起きたタイミングでカフェインが働いてすっきり目覚めることができます。
・パワーナップは15時までにする
15時以降に行ってしまうと夜の睡眠に影響がでる可能性があります。13時から15時の間に行うことをおすすめします。その中でも眠気が来やすい14時ころがおすすめです。
・時間は20分前後がおすすめ
パワーナップは短時間だからこそ効果が期待できます。15分~30分以内がよいとされています。
3 自分がもっとも適した睡眠時間を知る。
適切な睡眠時間とは、「日中に眠気がなく、活動に支障が出ない睡眠時間です。
1週間から2週間目覚ましなしで目が覚めるまで寝てみることです。
1週間から2週間自然な時間に目が覚める様になった睡眠時間が適切な睡眠時間です。
とはいえ、仕事をしているとなかなかなそんな風にはできないですよね。
睡眠が足りているか知るひとつの基準として、昼間に耐えられない眠気に襲われないかです。
急激な眠気に襲われるときは睡眠時間が足りていません。起きる時間より寝る時間を少しずつ早くしていって、日常生活に差しさわりがでない睡眠時間を見つけていってください。
4 質の良い睡眠をとる。
寝室の照明を落とし、快適な温度に保ったり、寝具を身体にあった眠りやすいものにしたり、寝る時の音楽など、自分が心地よい寝やすいと思える環境をつくり、質の良い睡眠をとれるようにしましょう。
また、起床後はすぐ朝日を浴びて、体内時計をリセットするのも大事です。
まとめ
睡眠負債は、自覚がない睡眠不足のことです。睡眠負債は無自覚なことが多いので気づきにくいのが特徴です。
この負債がたまってくると、日常生活でも、注意力散漫になったり、ミスをしてしまったり、大きな影響を及ぼします。また、生活習慣病のリスクが高まったり、脳機能を低下させたり、身体と精神に悪影響を及ぼし大変危険です!!
たまった睡眠負債を解消するには?
・30分早く寝る
・昼間の眠気にはパワーナップ(積極的仮眠)
・自分の適切な睡眠時間を知る
・質の良い睡眠をとる
短い時間でも、睡眠負債の対策はできます!!ご自身にあった方法で解消していきましょう。
しっかりと睡眠負債の対策をすることで日々のパフォーマンス向上は間違いなしですよ!!